身ごもり政略結婚

そしてベビー用品売り場についた瞬間、私たちは顔を見合わせて笑い合った。

一番目立つ場所にディスプレイされていた小さな洋服が、とてもかわいかったからだ。


「こんなに小さいんだ……」

「五十センチくらいで産まれてくるって聞いても実感湧かなかったもんな。これ見て初めてサイズがわかったよ」


五十センチの肌着の見本を手にした私たちは、口々に言い合う。


「種類もいっぱいあるんだ……。なにがいるんだろう?」

「いらっしゃいませ。よろしければお手伝いさせていただきます」


私たちは店員さんの力を借りて、必要なものをそろえていった。


「おむつやミルクもいるよね?」


何気なく大雅さんに漏らすと、店員さんが口を挟む。


「おむつは赤ちゃんに合う合わないがあるんですよ。メーカーによっても微妙にサイズや形も違いますし、肌触りも違います。病院で何種類か試せることが多いので、産後にお父さまが赤ちゃんにあった物を買われたほうがいいかもしれません」
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