身ごもり政略結婚

「これからしばらく予防接種だらけですので、わからなければいつでも私たちナースに聞いてくださいね」


高原さんは小さなベッドに寝かした愛結のことがかわいくてたまらないといった様子で、頬にちょんと触れながら柔和な笑みを浮かべている。


「パパ似ですかね?」
「やっぱりそう思います?」


高原さんの発言にすぐさま反応する大雅さんは、もう親バカ全開という感じ。
でも私はそれがうれしい。


「美人さんに育ちそうですね。素敵なママとパパのところに産まれてきたね」


高原さんはもう一度愛結に話しかけてから、「それでは」と病室を出ていった。


素敵なママとパパか……。
全力で愛結に愛情を注ごう。

そう決意しながら愛結を見つめたけれど、彼女はすやすやと眠っている。

私は同じように彼女を見つめる大雅さんに話しかけた。


「そういえば、どうして分娩室に入ったあとは落ち着いてたんですか?」
「あぁ、それは……」


大雅さんはなぜかバツの悪い顔をして言葉を濁す。
しかし観念したかのように口を開いた。
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