身ごもり政略結婚

「結衣、桜の錦玉羹できたぞ。これでいいのか須藤くんにアルカンシエルに持っていってもらえ」

「わー、ありがとう。メチャクチャ素敵!」


桜の花の塩漬けを薄いピンクで色付けした寒天に閉じ込めた錦玉羹は、春爛漫という感じ。


アルカンシエルでは、毎月展示される観賞用の和菓子が評判となり、海外のお客さまのみならず、わざわざこれを目当てに訪れる日本人客も増え、その結果ラウンジのエール・ダンジュの売り上げも伸びているとか。

例の抹茶と和菓子を提供するお店の出店も、本格的に検討されている。


「そういえば、男雛と女雛のセットも、海外のお客さまに大好評だって」


愛結が産まれたときに届けてくれたあの練り切りは、アルカンシエルで女の子を連れたお客さまに振る舞われている。


一番高いスイートの和室には本物の雛人形も飾られていて、隣に父の和菓子が並べられるとか。
どちらも日本が誇るべき文化だ。
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