身ごもり政略結婚

「ご飯、温めますね」
「あっ、その前に話があるんだけど、いい?」


そういえば、今朝そんなことを言っていたような。


「はい」


彼は愛結をつみきの前に座らせたあと、ジャケットを脱いでソファに座る。


「何事ですか?」


私も隣に座って大雅さんに尋ねる。

よくない話? でも朝は笑顔だったけど……。


「うん。決まったんだ」
「なに、が?」


愛結が遊び始めた様子を見て目を細める彼が、なにを言っているのかわからない。

首を傾げると、彼は私と視線を合わせてから話し始めた。


「今度エール・ダンジュで新しい宣伝用のポスターを制作することになって、それに愛結を出演させてほしいって」
「はっ?」


ポスター? 愛結がそのポスターに載るの?


「びっくりだろ。部下が言い出したんだよ。俺が愛結の写真を自慢して見せて歩いたからなんだろうけど」


その話は麻井さんから聞いている。
彼は『以前の専務からは考えられない』と驚いていた。
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