身ごもり政略結婚

「もう少し大きくなったら、今度は着物を着て千歳のポスター作るか」
「あはは」


このポスター撮影のとき、愛結はびっくりするほどいい子で撮影もうまくいき『このままモデルにしたらどうですか?』なんてカメラマンからも絶賛されるほどだった。


だから彼はそう言っているのだろうけど、あのとき『変な虫がついたらどうするんですか!』と抵抗していたくせに。


「ちょっとちょっと、あの天使かわいいね」
「ホントだ」


そのとき、近くを通りかかった高校生らしき女の子たちが、広告の愛結を指さして口々に言っているのが聞こえてきて、なんとなく鼻が高い。

すると愛結はそれに反応したのか、自分が写る看板に手を伸ばして触れようとする。

しかし、もちろん遠くて届かない。


身を乗り出しても触れられないと知った彼女は、抱っこする私の顔を見て「ママママ」と初めて言葉らしきものを発した。


「えっ、今なんて言ったの?」
「ママママ」
「ママって言ってる?」


大雅さんも興奮気味。
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