身ごもり政略結婚

彼が出ていってしまうと、リビングのソファに座りお腹をさする。


「この子の好みなのかな?」


妊娠すると味覚が変化するという話も聞いたことがある。
嫌いなものが急に好きになったり、味を感じにくくなったり。

それにしても……。大雅さんがこんなに気を使ってくれるとは意外だった。

仕事最優先の彼を見てきたからか、病気でもない妊娠で休むなんて思えなかったから。


それから二十分。
やはり体が熱っぽくてソファに寝転んでいると、大雅さんが帰ってきた。


「これでいい?」
「はい」


アイスを差し出されて受け取る。

彼は他にもサンドウィッチやおにぎりなどを買い込んできた。
コンビニに行ってきたらしい。


「他に食べられそうなら」
「ごめんなさい」


せっかくの厚意を無にする返事だと思ったものの、どうしても手が伸びない。


「気にするな。食べられるだけでいい」


彼にスプーンを持たされて、アイスをひと口食べた。
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