ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ライアンと電話で話してから、1週間。
状況は変わらず……どころか、悪化していた。
「何やってんだか……」
もはや呆れかえって苦くつぶやき、再び歩き出す。
「やっぱり御曹司には、イライザ・バトンが一番お似合いじゃない?」
「でもほら、美人ミュージシャンともデートしてたって」
「中条瑠衣(なかじょうるい)もでしょ? モデルの」
「さすが御曹司だよね、つきあう女もハイレベルっ」
「本命は誰なのかなぁ?」
追い打ちをかけるように聞こえてきた言葉に、とっさに両手で耳を塞ぎながら、足早に雑踏に紛れ込んだ。
本命は……私、なんて……もう、言えなくなっていた。
今や彼と噂になってるお相手は、イライザやシンシアだけじゃない。
『次の恋のお相手は、日本人アイドル!?』
『御曹司、パリコレモデルをお持ち帰り!?』
『銀座で豪遊! 御曹司を激撮!』
パーティーやら記者発表会やら。
華やかな席に、毎回違う美女を伴って登場して、その全員を大事なガールフレンドだと紹介してるみたい。
ネットでテレビで。
派手な女性関係が連日報道されるせいで、ライアン・リーはどうしようもない女ったらしだという評判が定着してしまった。
もともとそういう煌びやかな雰囲気を持った人だった。
王子様然としてるっていうか。
だから本当によく似合ってるんだ、スポットライトが。
でも……そこに映るライアンは、確かにライアンなのに。
よく似た別人じゃないかと疑いたくなるくらい、奇妙な距離を感じた。
私が知っている彼とは、違う人みたいで。
私とは違う世界の、人みたいで。