ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
BBBBB……
カバンの中で、携帯が震え出した。
メール着信だ、って気づいたけど……確認もせずに足を進める。
発信者も内容も、全部わかってる。
お父さんだ。
もう毎日のように、同じ内容のメールが届いてるから。
即刻彼を実家に連れてこい、今の状況を説明させろっていう催促。
実家の方でも、ライアンの報道をめぐって、私が騙されてたとかなんとか、騒ぎになってるみたいで。
そんなこと言われたって、私の方が聞きたいくらいなんだもの。
説明のしようがない。
ふぅ、と重たい息を吐き、カバンを持ち直す。
そしてもう一人。
そのお父さんと匹敵するくらい、もしかしたらそれ以上の勢いで怒り狂っている人がいる。新条部長だ。
金輪際あいつはYKDに出入り禁止だと、息巻いてる。
仕事に私情を挟んだりするような人じゃないのに……
どうやら以前、ライアンと部長との間で、私について何か話し合ったことがあるらしく。「あれほど約束したことを軽々と裏切る奴は、ビジネスでも信用できない」ってカンカンなのだ。
いろんな人が心配してくれて。
なのに、歯車は一向にかみ合わず、ギリギリと不快な音を立てるばかり。