ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
いろんな葛藤を引きつった顔の下に押し隠して、「あの」と口を開いた。
「連絡は、周りに気づかれないようにした方がいいのかと思って、柴田さんに頼んだんだけど……。あ、えっと……伝えたかったのはこれなの」
彼の手に、手紙をくしゃりと押し付けた。
「じゃあ私、先にここ出るね。一緒にいる所、見つかったらまずいんでしょ?」
上手く笑えていますように、と祈りながら彼に背を向け、ドアへ向かう。
そして追い立てられるようにノブを回した――
「?」
抵抗を感じて、視線を下向けると。
骨ばった大きな手が、私の手の上からノブを掴んでいて。
パタン。
数センチ浮いたドアは、
背後から伸びたその手によって、再び元の位置に戻されてしまった。
「ライアン……?」
すぐ横にある、彼の腕……
それをたどって、おずおずと振り仰ぐ。