ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

情けないことに、声も手も、震えてる。

一体誰だ。
シンシアはアメリカのはずだ。
じゃあ、仲間の誰か……


どくんどくん、どくんどくん――……


彼女は、無事なのか?
頼む、無事でいてくれ。

ごくっと喉が上下した――



『ライ? 俺だけど』 



聞き慣れた声に、どっと冷や汗が吹き出した。

「貴志、悪いけど今取り込み中なんだ」

『はぁ? なんだよそれ。人のこと散々こき使っといて』

「あぁ感謝してるよ。でも――」
『わかったんだよ、ニセ秘書の正体が! 真杉飛鳥が会ったっていうカフェ付近の防犯カメラのデータ、片っ端から集めて分析してさ。相当注意深く、映らないようにしてたみたいだけど。オレの目は誤魔化せなかったな』

得意げな声が、頭を素通りしていく。

『店の前に路駐してた車のサイドミラーから見つけたんだよ。誰だと思う? お前ぶっ飛ぶぜ?』

舌打ちが漏れた。

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