ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
憤りをこらえながら、なんとか顔を上げる。
「それで……お金を?」
「そうよ。ようやくわかってくれたわね。それで? いくらほしいの? 1千万あればかなり遊べるでしょ。それでいい?」
「……ざけないで」
「は?」
「ふざけないで、って言ったのよ!」
あまりにバカバカしすぎて、恐怖も焦りも何もかも、どこかに飛んじゃったみたいで。笑いながら言ってやった。
「どこの世界に、そんな話承知する母親がいるのよ。冗談じゃないわ」
「そんなこと言って――」
「言っておくけど、値段を吊り上げるために言ってるんじゃないから。本気で断ってるの。この子は産みます、絶対に」
シンシアの拳が爪を食い込ませながら震え出すのが見え、
ぶたれるくらいは覚悟しなきゃいけないかと、身構えた――時だった。
ピーッ
小さな音がして、石塚がさっとデスクに近づく。
そして、電話機のような機械のボタンを押した。
「どうした」