ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ザァっと砂嵐みたいな雑音に紛れて、聞こえてきたのは太い男の声。
『田中さんが着きました』
「通せ」
『了解しました。……おい、ゲートを開けろ』
男の声も砂嵐も消えた後。
ジワリと緊張が高まるのを感じた。
ここには私たち以外誰もいないと思ったのに……
今のやりとりを聞いていると、どうやら他にもいるみたい。
つまり、この部屋をなんとか逃げ出したところで、無駄ってことじゃない?
一体何人いるんだろう……
コクッと喉が鳴った。
そこへ。
コンコン
落ち着いたノック。
石塚がドアを開けると、男が一人立っている。
思わずソファからガタンっと立ち上がった。
フチなし眼鏡のテンプルの位置を優雅に直しながら入ってきたのが――……あのニセ秘書だったから。