ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
椅子に乗って、下を見下ろす。
大丈夫、ここは1階だ。降りられない高さじゃない。
後は、お腹をぶつけないように気を付けるだけ。
倉庫の外は、もう夜に支配されていて。
申し訳程度に灯る常夜灯の他は、全くの闇だ。
その色に一瞬怖気づいたけれど……
――あぁもうっ! さっさとぶちやぶれ!!
バンバン! バンバン!
今にもちぎれそうなドアから聞こえてくる音が、
そんな余裕はないのだと教えてくれる。
お腹に両手を当てて、深呼吸する。
ママと一緒に頑張ろう。
絶対パパに、会わせてあげるから。
お腹に当てないように。
それだけを注意して、ぎこちなく足を上げ……窓枠を跨いで、身体を外に押し出す。
全く無傷、というわけにはいかず。
錆びついた窓枠で何か所か引っかけたけど。
幸い、窓から地面までの距離はわりと近かったため、それほどの衝撃もなく降りることができた。
お腹は……大丈夫そうだ。
あとは出口を探して、進むしかない。
もつれそうになる足を動かして、暗がりの中をとにかく前へと踏み出した。