ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「教えてあげるわっ! あんたの愛しい人はね、人殺しなのよっ! 見たんだから、血まみれの老板の前で、ピストル持って腰抜かしてるライをね。あいつが殺して、それを自殺だと言い張って逃げおおせたのよ!」
辺りにこだまする喚き声を聞きながら、
やっぱりそうか、とどこか冷静な自分が独り言ちた。
「つまり、撃ったところは見てないんでしょう。憶測だけで決めつけないで。私は彼を信じてる。それはきっと、本当に自殺だったのよ」
「はっ……あんたの頭の中はお花畑なの? 信じる信じないは勝手ですけどね、老板は自殺なんかするような人じゃなかった。絶対に、あいつが犯人よっ!」
「もういいだろう」最上の、少しうんざりしたような声がした。
「さぁシンシア。あとは秘書に任せて、我々は祝杯をあげようじゃないか」
顔を真っ赤にしたシンシアをなだめつつ、歩き出す。
2人の後姿をぼんやり眺めていると。
「立てますか」
ニセ秘書の声が降ってきた。
目線を落としたまま、ゆるゆると首だけを振る。
全然、足に力が入らない。