ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「飛鳥っ!」

「動くなっ!」


どくんどくんどくん……


「大事な大事なお姫様なんだろう。傷つけたくはあるまい?」


拳銃なんて、ドラマの中でしか見たことないし、まるきり現実感ないけど。
さすがにこの状況で、水鉄砲って展開は……ないわよね。

鼓動が忙しくなり、再び全身に汗が吹き出した。


「バカねぇ、ライったら」
肩をすくめたシンシアは、大きく首を左右に振る。

「せっかくジエン・リーに取り入って養子になり、フレデリック・リーを誑し込んでてっぺんが見えてきた時だっていうのに。こんな平凡な女のために全部パァにしちゃうなんて」

「誑し込んだ?」
ライアンが、眉をひそめるのが見えた。

「飛鳥の前で、変な日本語を使わないでくれるかな」

「あら、間違ってないでしょ。みんな噂してるじゃない」
シンシアから意味深な視線を受けた最上が、「そうとも」とニヤニヤ頷く。

「総帥は、年甲斐もなく道ならぬ恋に夢中だとね。まぁ男とは言え、君ほどの美貌なら老いぼれ一人籠絡するなどワケないことか。素晴らしい才能だな」

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