ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

悦子さんは、私と入れ違う形で、大量のぬいぐるみとともに退院していった。
(ぬいぐるみ作りが彼女の趣味らしい。私も1コいただいた)

一度だけお見舞いに来てくれた時は、代表の座は退くと話していた。
離婚に向けて、協議を進めるらしい。

彼女は以前から夫の裏の顔にうすうす気づき、独自に調べていて。
その過程で何度か、身の危険を感じることがあったらしい。
それでSDが、避難場所としてあの病室を用意したのだそう。

シンシアは、アメリカの養父がリーズグループと取引をしてくれたおかげで逮捕は免れた。当分謹慎生活だそうだから、彼女の二胡はしばらくCDでしか聴けない。

そうそう。野球帽の男の正体が、ミユキちゃんだったことには驚いたな。
彼は今、雅樹のアシスタントとして働いてる。
実家との和解はまだみたいだけど、時間をかけて説得するって言っていた。


そして。
ライアンは、というと――

連日病室に泊まり込んで、嬉々として私の世話をやいてる。

離れていた時間を埋めようとするかのように、べったりくっついて離れなくて。お見舞いに来てくれた拓巳さんや奈央さんが呆れるくらい。

それは、これまでのドタバタが嘘みたいに、平穏な日々で……


1週間はあっという間に過ぎ――退院の日がやってきた。

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