ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
――男の子だってさ。腹ん中の子。
教えてくれたのは、先週ジャックスに顔を出した貴志だった。
彼はたびたびSDの報告ついで、と称してやってきて、飛鳥のことを知らせてくれている。
――ジェネラルってさぁ、真杉飛鳥に惚れてるんじゃないか?
貴志の言葉が、耳元で蘇った。
ジェネラル……霧島は、最近妊婦検診に付き添ったりして、頻繁に飛鳥と会っているらしい。
心配してくれてるんだろう。
危険な目に遭わせたことを悔やんでいたし……だから、気になるんだ。それだけだ。
理性的に考えようとしているのに、ざわつく気持ちは一向に収まってくれなくて。
何度電話しようと、受話器を取ったかしれやしない。
けれど今、中途半端に声を聞いたところで、恋しさは募るだけだ。
幸い、総帥の意識はもう戻っていたけれど、まだ予断を許さない状態が続いていて。いつ帰れると明確な約束もできそうにないし……
泥のようにズブズブと沈んでいく思考にうんざりして、何度か頭を振る。
とりあえず、今できることをやろう。
そう決めて、会議の資料へ目を落とした。