ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
《あの人は、どうしてか異常なほどお前に執着してる。だからお前を傍に置けるなら、どんな条件でも呑むはずだ。まぁ、もし押し倒されても死にぞこないだから、本気でお前をどうこうできる力はないはずだ。1、2発殴って逃げろ》
<ぷっ……どうこう、って……>
押し倒される自分を想像して、笑いがこみあげる。
彼も、他のみんなと同じく、総帥が本気で僕をそういう目で見ていると信じているらしい。
全くの誤解なんだけどな。
あの人が僕に対して抱いているのは、恋情とか欲情とか、
そんな色っぽいものじゃない。
そんなものじゃなくて――……
《おい、聞いてるのか?》
<聞いてるよ。キングはいいの? 君も知ってるだろう、僕の生い立ちを。そんな爆弾を抱えた人間を、グループのトップに据えてしまってもいいのかな?>
確かに僕のプロフィールは、リーズグループによって巧みに操作され、厳重に守られている。生みの親はジエン・リーの友人夫妻で、交通事故にて死亡、そういうことになっている。今のところは。
けれど、どんなことにも絶対はありえない。
もし過去がバレれば、その時は……
《問題ないな》
あっさりと、その声は告げた。
《何のために俺が、SDが、存在すると思ってるんだ。守りは完璧に固めてやるさ。最上の件だって、うまく餌を撒いておびき出して、始末をつけてやっただろうが》