ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

あぁそうか。だから……

胸の奥へ、温かいものが満ちていく。

だから、だったんだ。
飛鳥と会った時、彼女の名前を知った時、感じたんだ。

“見つけた”と。

決して彼女を、放してはいけない。特別な人だからと。
特別な――運命の人だからと。

それは、幼い日の約束を、心のどこかで覚えていたからなのかもしれない。


<今のお前なら、わしや歴代総帥の誰も成し遂げられなかったことを成すだろう。だから、お前を選んだ。わしのすべてを受け継ぐ者として、おまえ、を……っぅっ……>

ふいに。
総帥が顔をしかめ。

ぐらりと身体が傾いて椅子から転げ落ちそうになり、間一髪飛びついて支えた。

ぜぇぜぇと肩で息をするその人は、相当苦しそうだ。
顔色が一層悪くなってる。
無理をさせてしまっただろうか。

<横になりましょう。今ドクターを呼びますから>
<その必要はない。少し休めばよくなる>

煩わしそうに僕の手を払いのけた総帥は、薄い胸を上下させながら、乱れがちな声で僕をせかした。

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