ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

いきなり……静かになったな。

何も言わない拓巳。
怒り狂って、ぶつける言葉を探してるんだろうか。

僕は……なんて答えればいいんだろうか。
椅子に沈み込み、思いを巡らせていると……


――ヨーロッパから家族で上海へ移り住んできた娘でな。父親が経営する小さなオーベルジュで働いていた。


ベッドの上。
チューブにつながれ、苦しげな息を漏らしながら語るその人の声が、耳元に蘇ってきた。


――わしの一目惚れだった。彼女も幸い、わしの想いに応えてくれて。


出張を理由に何度も上海を訪れて、2人は愛をはぐくんだのだという。

けれど、幸せな時間は長く続かなかった。
ある日突然、彼女が姿を消したのだ。

――行方不明になったと、彼女の父親から連絡を受けたわしは、仕事を放って、必死で探し回った。


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