ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

あの事件の後、霧島さんは病院の送り迎えをしてくれたり、食事に誘って様子を聞いてくれたり。
私の状態を、とても気にかけてくれてる。

――あなたに何かあったら、新総帥に申し訳ありませんから。

ということらしい。

それは確かに心強いし、ありがたいんだけど……


「で、ベトナム料理で構いませんか?」

駐車場まで進み、霧島さんが私のためにドアを開けてくれたその車は、ドイツ製の高級車だ。
この前食事に行った時とは別のやつで、ちょっと怖気づく。

詳しく聞いたことはないけど、SDってことは……彼も当然、御曹司ってことよね。
しかもナースたちがこぞってファンになっちゃうくらい、顔面偏差値も高いイケメンで。
独身……みたいだけど、彼女の一人くらいは絶対いると思う。

私の世話なんて、焼いてていいのかな。
どんな理解ある恋人だって、いい気持ちしないでしょ?
お腹の大きな女を、彼氏が自分の車で送り迎えなんてしてたら。

妊婦用シートベルトまで用意してくれちゃったから、断りづらかったけど……
さすがに、もうちゃんと言った方がいいわよね。
私は大丈夫ですって。

そう心を決めて、ドアの手前で足を止めた。

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