ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「今日は、ごめんなさい。この後、予定があって」
「そうですか、残念。じゃあ、次にしましょう。今日はご予定の場所まで送りますよ」
「い、いえっ、自分で行けますから。ほんとに、私のことはもう気にしないでください。こんなことしてたら、霧島さんも恋人に誤解されちゃうでしょうし……っ」
あたふたと言葉を探す私をチラリと流し見て、ふっと悪戯っぽくその目が細くなった。
「もしかして、警戒してます? 僕に下心があるんじゃないかって?」
「は? や、そんなっ……」
まさか、と大慌てで両手を振る。
「霧島さんみたいな方が妊婦を相手にするとか、カン違いなんてしませんよ」
「勘違いではありませんよ」
「……え?」
「……なんて言ったら、困らせてしまいますか?」
冗談なのか本気なのか、わからないような微笑みを浮かべ、彼は視線で助手席を指した。
「大丈夫、最寄り駅まで送るだけです。言ったでしょう? 新総帥のためだと。あなたを守ることは、リーズグループに属する者として当然の務めですから」
「……はぁ」
ライアンのことを出されると、弱いのよね……。
躊躇いつつ、私はもぞもぞと車に乗り込んだ。