ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
キィ……
重たい木製ドアを押し開けて、コツンと、躊躇いがちに足を踏み入れた。
太陽が遮られるせいか、中は割と涼しい。
上部に取り付けられた複雑な幾何学模様のステンドグラスから、カラフルな光の粒子が降り注いで……そこは、中世にタイムスリップしたみたいな幻想的な空間だった。
しばらく言葉もなく見惚れてから。
澄んだ静けさが漂う無人のそこを、足音を忍ばせるようにして進んでいく。
本当は今日、この教会のこの場所を、歩いているはずだった。
バージンロード――その先には、ライアンが立っているはずだった。
実家近くの教会に似てるんだって、彼が気に入って……即決したっけ。
もうキャンセルしちゃったけど。
一番前のベンチへ腰を下ろすと、季節外れの雪みたいに、沈黙がしんしんと全身へ降り積もるようで……。
改めて、一人ぼっちだなぁと苦い笑みに唇が歪んだ。