ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
私がホテルに引っ越して、4日。
至れり尽くせりのサービスを受け、マリーさんとも打ち解け。
平穏そのものな私とは対照的に……
ライアンを取り巻く環境は、劇的に変化していた。
発端は、ネットで流れたイライザ・バトンとのツーショットだ。
おそらく東京の、路上。
カメラは、夜目にもスタイルのよさがはっきりとわかるイブニングドレスを着こなした金髪美女と、彼女を車へとエスコートする長身男性を追っていく。
男性は薄い色のサングラスをかけていたけど、見る人が見れば、ライアンだってことは一目瞭然で。
カメラに気づいたイライザは、わざわざサファイアのような瞳をそちらに向け、映画のエンディングシーンのように華やかに微笑み――画面は暗転する。
寄り添う2人の距離はとても近くて、親し気で。
どこが友人よ、って突っ込みたくなるくらい。
彼が以前女性誌のインタビューを受けていたこともあって、映像の男性がライアン・リーであることはあっという間に特定された。
彼が、リーズグループに連なる御曹司であることも。
日本のマスコミは、国際的セレブのロマンスが東京で展開していることに狂喜。
都内のどこどこでデートしていた、2人の関係は5年以上に及ぶらしい、両親も公認の仲で、結婚式はグアムらしい……etc.無責任なニュースをあふれさせ。
御曹司とオスカー女優との世紀のセレブ婚間近、といった雰囲気を、短期間で見事に演出してしまった。
そう、彼は今や……時の人、なのだ。