ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「……は?」


湯気の立ち上る2つのカップをテーブルに置いたマリーさんが、再び向かい側に腰かけて。

絶句してる私に気づいたんだろう。
彼女もまた、瞬きしながら口を噤んでしまう。

「え、と……?」

総帥、夫人?
なに、それ。

「あら……あの、そういうお話ではないんですか? ライアン様が次期総帥になられて、飛鳥様もご一緒にシンガポールにと……」

「え、やっぱり……ライアンが次期総帥、って……もう決まりなんですか?」

息を飲む私へ、マリーさんが慌てたように顔の前でパタパタと手を振った。

「いえいえ! そういうわけでは……でも、総帥がライアン様をお気に召してらっしゃることは、昔から内部では有名な話ですし。妙な噂まであったくらい……」

「妙な噂?」
おうむ返しにすると、マリーさんはハッとしたように「なっなんでもありません」と首を振り、ぐびぐびっとお茶を飲み、「あつっ」と吹き出した。

「まぁまぁそそっかしいこと」
ぎこちなく笑いながら、おろおろとテーブルを拭くマリーさん。
常になく動揺してる彼女に、疑惑が沸く。

もしかして……ライアンと総帥の間には、何か……?


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