幼馴染は恋をする
「ごめん。恵和かも」
「…はい」
右腕が外された。携帯を出した。
「…麻衣だ。出るね?」
「はい」
奥さん…。
「…はい、どうした?」
「再婚するの?」
「あ、いや、まだ…」
ちょっとごめんと囁いて腕を放し、立ち上がった。ベランダに出るようだ。
「恵和が、おじさんとおばさんが居て、朝ちゃんはうちに来るの、とか、ちょっと解り辛い話だったんだけど、そんな話があるの?全然それらしい話とか聞いてないから」
「まだ解らない段階では話せないから」
「予定はあるのね?」
「うん、まあな」
「朝ちゃん朝ちゃんて、恵和が言うから。随分親しそうだったから。もう長いの?」
「いや、全然、そんなんじゃない。ただ、恵和は懐いているんだ」
「そんなの狡くない?」
「え?狡いってなんだ」
「だってそうじゃない。いつの間にって感じ。こっちはそんな時間もなくて慣れるほど会ったこともないから」
結婚相手のことを言ってるのか。…んん。しかしそれは。
「それは…俺だってそっちのことは知らないけど、恵和に歩み寄ってくれそうな人なのか?子供は好きなのか?麻衣の子だっていっても、自分の子じゃないんだ。邪魔に思ったりしないのか?」
「それは…慣れてきたら慣れるじゃない…」
そんな感じではどうなるか解らないじゃないか。子供だけを見ろとは言えないけど、邪険にされたら恵和は居場所はなくなるんだ。顔色を窺いながら暮らさせるなんて…。
「恵和の感じた印象じゃ、そんな感じにはなれそうもない気がした。心配し過ぎかもしれないが、聞きわけが悪いなんて言われて、酷いことをされたくないんだ。そうなった時、麻衣は恵和を守って味方になれるのか?どうなんだ?他人の子でも自分の子として可愛がってくれるような人なのか?」
「…それは…解らない」
「大袈裟なことじゃない。一番大事なことだ。じゃあ、俺が育てる方がいいじゃないか。朝は恵和と上手くやっていける。…もし、一緒に暮らすことになっても不安は何もない」