幼馴染は恋をする
…。

あ、柳内さんキョトンとしてる。

「………ん、あ。あー、……はぁ」

顔を手で覆った。二度三度擦って撫で下ろした。また息を吐いた…壊れちゃった?

「…そんな質問は…愚問ていうんだよ…」

「聞いちゃ駄目でしたか?」

「うん…、そうだな。そんな可愛いことは言ったら駄目だ。…今日だけだぞ?」

もっと喰ってしまいたくなるじゃないか。はぁ。

「あの…」

「ん?まだなんか聞きたい?」

「友達が……したって話を聞かされて。それでそれは……凄く痛くて、しばいてやろうかと思ったって。あ、普段はそんな言葉遣いしない子なんだけど、ムッチャ痛かったって。……気持ちよくなんかなかったって」

…。

「それで私も、柳内さんを叩きたくなっちゃうのかなって思ってたけど…」

「幸か不幸か、叩かれはしなかったな、ハハハ」

「……はい」

叩くどころか………。控えめな甘い声を聞かせてもらったよ…。沢山抱きしめてくれた。…ぁ……まずいな…

「んん、ま、その子がした相手が良くなかったってことかな。…俺は年の功、かな。
女の子にはうんと優しくしないと…その…労りが足りなかったのかも知れないな。相手は同級生かな…男の子が自己満足しただけだったのかも知れないなぁ。余裕がなかったんだな、若いし、夢中だから。責められないよ」

「私……そんなに痛くなかった。……みんな凄く痛いものだって。だから、ちょっと、怖かったけど…でも…」

「怖くなかった?」

「…はい」

ぁぁ…誰にも言えない何とも言えないこの高揚感…。無駄に年喰ってただけじゃなくて良かった…。だけど俺だって…朝を何度も抱きしめる度……幾度となく理性を失いかけたのは事実だ。

「はぁ、…良かった。……それは良かった、うん、良かったよ…。一緒に風呂に入って、ご飯食べて恵和を迎えに行こうか」

「えー、…お風呂は…駄目です」

「…そうなのか?…」

まだまだ焦っては駄目だ。一度に全てを手に入れようなんて…努力と我慢が必要だな…。精進します。
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