幼馴染は恋をする
ピンポン。

「はーい?あ、貴浩君」

「あの、朝、元気かと思って」

「あ、うん。…そうね、入って?」

「あ、いや。なんて言うか、元気ならいいんです」

「まあ、入って?ね?」

「…はい」

「朝、普通だから。心配ないよ。はい、どうぞ」

スリッパを出してくれた。

「変な感じね、電話では話してるけど。会うのはあの時以来ね。ほら、小学生の時。ね?…フフ」

「え?あ、はい」

家の前までは来てるけど…中に入ったのは小学生の時以来か…。


「中学で一緒になってからずっとクラスも一緒で良かった。座ってて?いきなり朝の部屋にって訳にはいかないから。呼んでくる、きっと大丈夫、待ってて?」

「はい」

冷蔵庫からストロー付きのカフェラテを取り出し、俺の前に置いた。

「飲んでて。…有り難うね、来てくれて…」

「あー、は、い」

廊下に出て、階段を上がって行った。トントンという駆け上がる音は聞こえて来なかった。一段一段ゆっくり上がってるんだと思った。

「朝~、貴浩君だよ~。下りて来れる~?」

小さいけど問いかける声、はっきり聞こえて来た。朝はなんて言ってるんだろう。
俺、連絡もしないで来たから…。変に気にしないかな。

トン、トン、…下りて来てる。

「ちょっと待ってて?ちょっと着替えてから来るって言ってるから」

「はい」

…ふぅ、取り敢えず良かった。やっぱ急に来たら…いい気、しないよな。

「あ、遠慮なく飲んでて?嫌いじゃないよね?」

「…あ、はい」

俺は無意識に容器を振った。だけど…これ、朝のじゃないのかな。

「確か…ワッフルもあったかな。食べる?」

冷蔵庫を覗いてる。
トントン、トントンと弾むような音がした。

「それ、私のだから」

朝が下りて来た。
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