幼馴染は恋をする
「なあ、大丈夫なのか?朝ちゃん。こんな…まあ噂話だけど…どうなんだ?」
…。
「…おい。余計なお世話、煩い、俺に聞くなって顔だけど。俺もさぁ、別に言いたくないけど…、母ちゃんがさ、聞いてくる訳よ。同級生だろって。聞きにくいんだけどさって。だけど、俺に聞かれてもさ、お前だって聞いてないのに俺が何を知ってる訳じゃない。…俺は想像で返事なんかしてないからな?
お前にしたって…朝ちゃんが大丈夫って言ってるからそれ以上聞けない。だけど、その大丈夫って何なんだ?って事だろ?やっぱりそこは謎のままなんだろ?」
…。
「…知らないよ。何でもないって言ってるんだから。何にもないんだよ。現にちゃんと来てるだろ」
「家まで一緒に帰ってるか?」
「そうしてる」
「…そうか。じゃあ、帰ってからの事か」
「…お前…何想像してる…」
「……怒るなよ?」
「…ああ」
「何かちょっと…あって。……それを元に脅されてる。…会うようにって。そうせざるを得ない状況にされて…。だけど誰にも言えなくて…とか、さ」
…。
「おい…怒らないのか?」
…。
「おい。貴浩…」
「そうじゃないと思う。…そんな事、…大した想像力だな。そんな事、無いさ。お前、映画とか、外国の事件とか影響受け過ぎなんだよ」
…。
「だよな…そんなだったら深刻な顔してるよな朝ちゃん。…だけど」
「平静を装ってるって言うのか。そんな態度、取れる奴じゃない」
「それは…無理だよな。大人じゃないんだから」
「こんな話、勝手に…」
「あ、おい…」
あ、朝…。
「貴浩君、帰ろう?じゃあ、バイバイ誠人君」
「ああ、じゃあな。た、貴浩、じゃあな」
「うん、じゃあな」
…聞かれた。