幼馴染は恋をする
…。

「心配してくれてたんだ。…誠人君も」

「……あ?…心配っていうか、…余計なお世話的な、話だ。……ごめん、勝手に」

「ううん、だって、……私、何も話してないから、何言われても仕方ないよ。…うちでも、人が噂してるから心配はしてるのに、……聞いてこないの。デリケートな事だから、思い込みで話したら私を傷つけやしないかって思ってるのかもしれない。第一、私が大丈夫って言ってるから何も聞けないんだよ」

「………大丈夫なら、いいんだ」

俺も、根掘り葉掘り聞けない。

「あのね……オジサンといえばオジサンなんだ」

「え?」

何だか解らない話、話すつもりなのか。

「どうして……歳の離れた………オジサンと居たら、それだけで変な想像するんだろうね。多分、制服って格好も変なバランスに見せてるんだよね。変なニュース多いし。ね、オジサンがいたずらしたとか、ネットだとそんな事件、一杯出てるから。大人は見た物を想像だけで決めつけて噂して、子供は、…若い人はそういう事件と照らし合わせて同じにしてしまう。……勝手って言えば勝手なんだけど」

「…朝」

「なんでもない。何でもないけど、……なんでもあるんだ、……本当は」

「……どういう意味…」

「…うん」

…。

「うんじゃなくて」

あ、焦って聞いちゃ駄目か。朝が話すのを待ってないと…でも、何でもないことじゃないこと、言えるのか?

「……好きになっちゃったんだ。………その人の事」

「……へ?あ、あ、ごめん、え?今……好きって、言ったのか?」

「うん、言ったよ?」

あ……好き?…………好き…。オジサンを好き?

「変な人じゃないって、解ってくれた?」

「あ?あぁ、うん。うん」

いや、うん、変な人?それは解らん、だろ。噂みたいな変態じゃないって意味か。
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