幼馴染は恋をする
「知ってるのか?」
「だから、親もお姉ちゃんも知らないって、ちょっと説明できないから…」
「違う、それは聞いたじゃん、じゃなくて、……歳、歳だよ」
もう言わないって言ったから、教えてくれないか。
「聞いて驚きたいの?…軽蔑したいの?」
「違う、そんなんじゃなくて、聞いただけ」
「興味?」
…そう言われたら、そう思ってるのかも。
「無関心て事にはならないよ」
「そうよね。………34、だって」
さ、34?
「お、親父とそう変わんないな…」
やべ、つい口に出た。朝の親父だって、そう変わんないんじゃ…。て、事は、あ゛?俺らより19も上のオジサン。まさにオジサンじゃん。……なんで……何がきっかけでそうなった。なんで好きなんだ。…イケメンオジサンか?…。
「そうだね。言われてみたらそうだね。でもさすがにお父さんの方がもっと上だよ」
向こうは大人だ…なんか、された訳じゃないよな。あ、違う、それだと変質者としての噂と同じになる考え方だ。ん゙ー。って、俺が悩んでもな。朝の中では理由ははっきりしてる訳で。
「あ、もう着くな」
「あ、うん。じゃあ、ここでいいよ?」
それだ。
「ここでの方が、都合がいいって、そういうことだよな」
「あ、…うん。大丈夫だから」
そういうことだ。
「本当に大丈夫だよな?じゃあ、な。またな」
「うん。ありがと」
きっと、この辺りが落ち合う場所、ていうか。会う約束をしてるんだな…。勝手な想像だ。
家に帰ってしまうと出る事が難しくなる、出掛けるって言ったら詮索されるもんな。毎回毎回、コンビニに行くとは通じないだろうからな。………んー。34のオジサンとどんな接点、出会い…。
さっぱり解らん。
ドン。
「あー、ごめん、大丈夫か?チビ。走ったら危ないぞ?」
「大丈夫。ごめんなさい。僕、よしかず」
「あー、じゃあ、よしかず君、どこも痛くないか?」
「うん!」
あー、近くに保育園あったっけ…。
あのくらいの頃って何だかよく駆け出すよな。俺、な~んも考えてなかったかも。