幼馴染は恋をする
「大丈夫だよ、そのままで。こっち来て」

「うん、行こう貴浩。お邪魔しま~す」

「…うん」

上がって横の部屋に入った。台所だ。テーブルにホットプレートが出てる。ソファーもテレビもある部屋だ。見回した。
こっちに居るのかな。ソファーの背とかで見えてないのかと思った。横になってたりして。あれ……いないじゃん。
姉ちゃん騙したのかな。…どんな奴かと思ったのに。

「とも~」

あ、居るんだ。ともっていうんだ。…ともって…どんな子なんだろう。ゲームとかするのかな。だったら強いのかな。
トコトコと足音が近づいて来た。

「何…お姉ちゃん…」

ちょこんとドアから顔を出した。あっ。…えぇぇ…女の子じゃん…。ともって…女の子だったんだ…。
なんか機嫌悪いのか?顔、ちょっと恐い。怒ってるみたいだ。…どうしたんだろ。

「あのね、佳乃の弟君で、貴浩君ていうの。妹のともです」

「あ、…とも、です…」

またちょこんと頭を動かした。

「…僕、…俺、貴浩です」

何故だか、俺って言い直した。

「フ、フフ」「フフフ」

姉ちゃん達は俺らを見て笑った。…何だよ…何が面白いんだ。急に無理やり連れてきたのはそっちじゃん。何だよ。あの子だってきっと俺が来るのは知らなかったんだ。

「あ、おやつにホットケーキ作ろうと思ってるんだけど。みんなで作ろうよ」

だから出してあったんだ。

「うん。一緒に作ろう作ろう」

粉を混ぜたり、ホットプレートに油を出したり、何となく俺はともちゃんと一緒にするように言われた。ともちゃんはなんだかつまらなそうだった。…俺だって、女の子とは思ってなかったから恥ずかしいのに。
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