幼馴染は恋をする
はぁ。
ピンポン。おじさんもおばさんも居てくれるといいけど。
「はい、あ、…貴浩君…どうしたの?」
「あの、突然すみません。どうしても、…謝らないといけないことがあって」
「朝のことなのね?」
「はい」
「うん…久しぶりね、元気だった?とにかく入って?」
「はい」
つい部屋を見渡した。変わらないな…。だけどなんだか整然としてる。
「掛けて?…すっかり静かなのよ。貴浩君が来てくれてた頃は賑やかだったけど。お姉ちゃんも独り暮らししてるし、…朝も、結局大学には行かないって、家を出るって就職したの…そしたら…」
「あの、そのことで、というか、中学の頃、僕は朝が柳内さんと会えるように協力してました。嘘をついてしてました、すみませんでした」
「あ、いいのよ…それはいいのよ。子供がしたことだから、大丈夫、気にしないで。仲良しだったんだから、朝を思って助けてくれたのよね」
あ、そんな簡単に許すことなのか?中三のすることは子供のしたことと片付けられるのか。大人からみたら本当に子供だってことだ。
「すみませんでした」
「私も夫も、朝の様子が変なのは気づいてたのよ。あの子、冷静な子だけど、妙に落ち着かない日があったりして。それは貴浩君と一緒だと言った日に限ってね。色々、大人の目で考えてみたのね。仲がいい、もしかしたら、中学生でも何かあるかも知れない、それは男女としての好奇心からね?そんなこととか、あ、ごめんね、こんなこと。…貴浩君も気にしてくれていた噂のこと、本当は何か酷いことをされて隠してるんじゃないのかって。考えないではいられなくなるの。それも小さい頃とはまた違うからどうしても気になって心配しちゃって。…それが、その噂の人が柳内さんだったなんてね。噂は噂だけで何も無くて、はぁ、でもその人を好きになったから、会いたくてあの場所に居て、それで…」
…。
「どうして歳の離れた人を好きになったのかしらね…。理屈では解るのよ?好きになるのにそんなことは関係ないって。好きって感情の否定はできない。でもまだ本当の意味での好きって知らないと思うの。恋の入り口の遥か遠くで好きって言ってるようなもの。好きだけでいいのよ。……独身だけど、結婚してたことがあって子供も居る人をなんて、いきなり聞かされても。…結婚したいだなんて…。何も、大変さなんか解ってないから、余計言っても解らないのよね」
「多分、どんなに理解されなくても、反対されても、朝は柳内さんと結婚すると思います。僕にも解りませんが、多分、初めて朝が自分から好きになった人だからです。まだそれほど大人じゃないから、好きになったその気持ち、もの凄く純粋だと思います。だから他の人には目は向かないと思います。どれだけ長くなっても諦めたりしない、賛成してくれるまでは結婚はしないと思います」
「貴浩君、あなたって子は」
「え?」