幼馴染は恋をする

「ごめんなさいね、子なんて言って。でもどれだけ朝を……優しいの…」

「あ、いや、それは違います、…友達だからです」

「…そうね、友達…。私はね、本当に…あの頃からね、二人がこのまま特に意識せず自然に大人になって、気がついたらお互いがお互いに大切な人だと思ってくれればいいのにって思っていたの。だからお父さんも、ずっと仲良くしてやって欲しいって、言ってたでしょ?あぁ、何だか、昨日のことのような気がする…あ、は…グス。ごめんなさいね。困るような事を言って。…友達なのにね」

……友達。

「友達です。…俺は…何一つ勇気がなかったんです、それだけです。だから多分ずっと同級生、幼馴染のままなんです。しばらく会ってないし連絡も全然…。だから挨拶のことも朝から聞いた訳ではありません。
大丈夫っていうか、関係性はきっと変わらないと思います。朝は意志が堅いというか、自分で決めたことは曲げない、そんなところがあります。だから、自分の中で思ってることはやり遂げると思います。中学生ではなくなったけど、まだ俺らは世の中に出たばっかりで未熟な中途半端な年齢です。でも、少しは大人の話も解ります。
何も出来ない子供かも知れないけど、ご飯だって頑張って作ると思います。掃除や洗濯はできると思います。自分の為にじゃ頑張りが弱くてしないかも知れないけど、大切な人の為なら頑張れると思います。あいつはそんなやつです。
いきなり来ちゃったから、留守を狙って来たみたいになったけど、おじさんには会えなかったけど、おじさんにも謝りたいです」

「大丈夫よ。そんなに…深刻にならなくて大丈夫だから。お父さんも謝られても困ると思うのよ?結果は成り行き、そういうものだからね?大丈夫、来てくれて有り難うね」

「…はい、すみませんでした」

「ごめんね、ちょっとお茶出すわね」

「あ、いいえ」

「カフェオレ作るから、ちょっとだけつき合ってくれる?」

「あ、はい」

カフェオレ…朝のお母さんにとって俺は中学のままで止まってる。
俺は朝のお母さんから朝がこの家に来た時からの話を聞かされた。
こういうの、積もる話というのか解らないが、お母さんの話は後から後から溢れてきて、尽きることがないかのように感じた。
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