幼馴染は恋をする

『本人はどう思って過ごしていたのか解らないけど、毎日、心配が尽きなかった。妹の大事な娘。小さい時に一度怖い目に遇って…ゾッとしたの、こんな小さい子に何かしようとする人がいるのかって。とにかくこれからも気をつけなくちゃって思っていたら、それからも怖い目に遇ってしまって……、ううん、親の責任よね、ちょっと目を離した隙にって言うけど。…はぁ、過剰なくらい毎日毎日無事に過ごせたことを幸せに思って過ごすようになった。
成長するのは嬉しいことではあるのに、これからそれが逆に危険が増えるんじゃないかって。
まだ、安心はできないのよね。まだ子供…危ない年齢だから。それなのに一人で暮らすなんて言い出して…。

貴浩君と知り合いになれたこと、本当に良かったと思ってるの。男の子だけど凄く信頼してるの。小学生の内に顔見知りになってたでしょ?それが良かったのね。中学では一緒になるし、それもずっと同じクラスだった。ずっと仲良くしてくれて本当に有り難う。
お姉ちゃんなのよ、里英がね、佳乃ちゃんと仲良しだったでしょ?
だから朝と貴浩君も仲良くなったらいいのにって。里英にしてみたら、守ってもらう目的だったのかも知れない。…ごめんなさいね、企んでたみたいな言い方をして。だから、貴浩君達にしてみたら、急に会うはめになったのよね』

それから連絡したり一緒に遊んだりしてないのに、俺の中に朝ははっきり記憶された。
中学は同じだねって言って、ちょっと明るい顔になった朝の印象は忘れられなかった。
塞いだような不安げな顔が、笑ったらこんなに可愛い顔なんだって。
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