幼馴染は恋をする

「朝ちゃん、卒業おめでとう」

あ。

「ともちゃん、おめでとう!」

あ、え…。

「…柳内さん…恵和君も。どうして…」

思いがけない顔を見てびっくりした。

「…大丈夫?今日って日曜日だろ?だからこっそり…な、恵和」

「うん!サプライズ!ともちゃん、制服が違うんだね」

恵和君、さっきから私のことを朝ちゃんて呼んでる。前はおねえちゃんだったのに。柳内さんがそう呼ぶように言ったのかも知れない。

「あ、そうね、これは高校の、ここの学校の制服だから。恵和君に会った時は中学生だったから」

「高校生だから大きくなったんだよね?」

「ん?フフ、そうね、そういう言い方もあるかな」

恵和君こそ、大きくなってる。ちょっとお兄ちゃんて感じになった。まああの頃は本当に小さくて可愛い年頃だったから…。

「……ご両親は?」

「あー、うちは、来ないでって、きつく言ってあるから来てないです、大丈夫ですよ」

「朝ちゃんらしいね。……ごめんね。花束の一つでも持って来たかったんだけど、渡してしまうと困ると思って」

「…気持ちだけで嬉しいです、来てくれるなんて思わなかった。嬉しいです」

……その朝ちゃんらしいねって判断…何から解るんだろう。人の性格って、大人になれば大体見抜けるものなのかな…。

「じゃあ、帰るね?友達と色々あるだろうから」

「バイバイ、ともちゃん」

「あ、バイバイ…」

これだけの為だけに来てくれたのかな。…はぁ。

私、卒業しました。柳内さん…。
私はどういうことになろうと家を出ようと決めてました。高校に入って、進学を勧められてもしないと決めました。私、仕事をするんです。少しでも世間のこと、どんなことでも経験を増やしたいから。沢山経験して、どんなことが起きても動じないでいられるように、…そんな大人になりたいから。
…焦ってる?でも、解らないことばかりだから。…子供のままではいられない。
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