洗脳学級
「あんな質問、きっと答えてくれないよ」


美世はツンとした口調でそう言ったが、アプリは普通に受け答えをしているのがわかった。


《ボクが解決してあげるよ！　頭からゴミを被せるのってどうかな！？》


無邪気がウサギの声にあたしたち３人は目を見交わせた。


「ちょっと、返事しちゃってんじゃん」


佑里香が焦ったようにあたしへ向けて言うが、そんなことを言われてもあたしは何もできなかった。


しっかりと受け答えをしたアプリに対して、浩哉は大声を上げて笑っている。


「頭からゴミだってよ！　このアプリが言ったことなんだから、俺を怨むなよ？」


浩哉はニヤニヤとイヤラシい笑みを浮かべて、ゴミ箱を高々と持ち上げた。


想が逃げる隙も与えず、頭の上でゴミ箱をひっくり返してしまった。


周囲にゴミが飛び散り、真下にいた想の頭には埃や紙くずが乗っかっている。


不運なことに、腐りかけたバナナの皮まで想の頭に乗っかり、カノンと浩哉はお腹を抱えて笑い出した。


「誰よ、教室でバナナを食べたのは」


あたしはそう呟き、笑いを押し殺した。


想からすれば最低最悪の悲劇かもしれないが、見ているこっちはつい笑ってしまいそうになる。
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