“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「そ、それはそうと、あの、アリアンヌお嬢様から、外出について聞きました?」

「ああ、先ほど、聞いた」

休日だというのに、私の買い物に付き合わせてしまって悪いことをしてしまった。

「迷惑だったのでは?」

「なぜ?」

なぜって……。今日は休日で、ずっとご実家であるラングロワ侯爵家にも帰っていないという。それなのに、私との買い物を命じられてしまったのだ。

「ご実家には、帰られないのですか?」

「特に、用事はない」

「はあ、さようで」

以前までは週に一度は帰っていたけれど、ここ最近は本当に用事がないようだ。

「迷惑ではないから、気にするな」

「ありがとうございます」

ミシェル様ってば、さすが紳士だ。迷惑だと思っていても、態度や口に出さない。どこに出しても恥ずかしくない男性だろう。

「いつ、出る?」

「今から身支度をするので、一時間半後でいいですか?」

「それだけで、足りるのか?」

「ええ、大丈夫です」

「では、一時間半後に」

「よろしくお願いいたします」

ここで、やっと手を離してもらった。出会いがしらに握られてから、ずっとそのままだったのだ。

誰にも目撃されなかったので、心からホッとする。
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