“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
急いで身支度を整え、なんとか待ち合わせの時間に間に合った。ミシェル様はすでに、玄関で待っていた。

「すみません、お待たせしました」

「いや、今来たばかりだ」

そう言ったあと、執事がミシェル様の上着を持ってやってきた。

「ラングロワ様、そんなところで待たれては、体も冷え切ってしまったでしょう。上着を──」

執事は私が来ていることに気づき、ハッとなる。ミシェル様は呆然としている執事から外套を受け取り、着こんでいた。

どうやら、ミシェル様はわりと長い時間、ここで待っていたようだ。私が気にするといけないので、今来たばかりと言ってくれたのだろう。なんて優しい御方なのか。

ミシェル様は何事もなかったかのように、私の腰を抱きよせてから言った。

「エリー、行こう」

「はい」

馬車に乗る際、いつもは手を貸してくれるだけだったが、今日は腰も支えてくれた。

「あの、ご丁寧に、ありがとうございます」

「今日のドレスは、足元が見えにくいだろう?」

「そ、そうですね」

慣れない扱いに赤面しながら、王都を目指して出発する。
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