“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
昨日は本邸に繋がるこの道のりを、ミシェル様と手を繋いで歩いた。そのことを思い出すと、恥ずかしくなってしまう。

いい歳なのに、手を繋いだだけで照れてしまうなんて、私も修業不足だろう。

前世では、結婚していたのか。その前に、彼氏はいたのか。

まったく、これっぽちも思い出せない。前世の記憶がバス用品、化粧品に関することに偏っているなんて、まったくもって不思議である。

そんなことを考えていたら、突然手を握りしめられる。

「いい天気ー」

「ぽかぽかー」

イリスとドリスが、左右から私と手を繋いだのだ。危うく、「ぎゃあ!」と悲鳴を上げそうになる。

「どうしたの?」

「なんだか変」

「な、なんでもないです」

ぼんやりしているから、挙動不審になるのだ。今は歩くことに集中しなければならない。
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