“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「薔薇は、私にお任せください。きちんと、咲かせて見せますので」

「お願いいたします」

「しかし、この咲いている薔薇は、もうダメでしょう……」

「でしたら、私が引き取ってもいいですか?」

「ええ。このままであれば、朽ちていくだけですから」

薔薇の状態は正直いって良くない。けれど、そんな薔薇でも使い道はある。

庭師のロジーさんと一緒に、鋏で茎を切って、薔薇の花だけを籠に戻した。

すぐに、薔薇は蒸留室に持ち込む。

奇跡的に、ひとつだけきれいな状態の薔薇があった。

この薔薇を使って、プリザーブドフラワーを作る。

プリザーブドフラワーとは、花を長期間保存できるように加工した花のこと。うまくいけば、みずみしく美しい状態を保つことが可能なのだ。

ちょうど、保管していた薬剤で作れる。さっそく、作業に取りかかった。

消毒用エタノールに薔薇を浸けると、薔薇の水分と色が抜ける。短時間で水分と色が抜けるよう、薬剤の効果が早まる魔法を施す。

「──にじみでろ、浸出(インフューズ)」

魔法陣が浮かんでほのかに光り、パチンと弾けた。魔法は成功だ。

続いて、薔薇の着色を行う。保湿潤滑剤に水、インクを加え、着色液を作った。

着色液を温めて、薔薇の花を鎮める。今度は、浸透魔法で色を染み込ませる。

「──しみこめ、浸透(パーミエーション)」

魔法は無事成功。
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