“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「では、始めましょう。石鹸の基本の作り方はわかりますね?」

「う、はい」

「大丈夫」

イリスとドリスには、何回も私が石鹸を作るのを見せていた。きっと、上手く作れる。

まず、カモミールの浸出油は乳鉢で擂り潰し、細かくしておく。

瓶を空けると、ふんわりとカモミールの甘い香りが漂った。

「いい香りですね」

「あ、なんだか落ち着いてきた」

「うまく作れそう」

さっそく、カモミールのリラックス効果が現れたようだ。緊張が薄らいだイリスとドリスは、テキパキと準備を始める。

イリスがカモミールの浸出油を擂り潰している間に、ドリスが石鹸の材料を量っていく。

石鹸作りを教えた当初は、苛性ソーダが恐ろしいと怯えていた。今も、完全に恐怖心がなくなったわけではないだろう。けれど、頑張ろうとしていた。そんなイリスとドリスを、サポートする。

「よし、じゃあ、始めよう」

「うん」

きっと大丈夫、成功すると呪文のように呟きながら、苛性ソーダを精製水に加えていた。ここがおそらく、もっとも緊張する瞬間だろう。
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