“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
特に何も起きなかったので、イリスとドリスはホッと安堵の息をついていた。

作業は順調に進み、石鹸の生地が完成したらカモミールの浸出油を入れる。あとは型に流し入れ、魔法で固める。

最初の魔法はイリスがかけるようだ。呪文は間違えないよう、はっきりと言葉にする。

「──かわききれ、完全乾燥(フル・ドライ)」

石鹸の上に魔法陣が浮かび上がり、パチンと音を立てて弾ける。

「成功したみたいですね」

「やった!」

「イリス、すごい」

「今度はドリスの番ですよ」

「う、うん」

乾燥させた石鹸を切り分け、今度は熟成させる。カモミール石鹸の熟成期間は一ヵ月から一ヵ月半くらい。その辺も細かく調節して、魔法をかける。

ドリスは緊張の面持ちで、呪文を唱えた。

「──ふかまれ、熟成(エージング)」

これも、成功だ。琥珀色の可愛らしいカモミール石鹸が完成となった。
< 190 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop