“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
では、というかけ声とともに、バスボムは浴槽に放り込まれる。シュワシュワと発泡する湯の中を、アリアンヌお嬢様は不思議そうに眺めていた。

「ああ、なんて……摩訶不思議なの。それに、お湯に入れたら、薔薇の香りが濃くなったわ」

うっとり眺めていたが、メアリーさんが服を脱がしにやってくる。

「アリアンヌお嬢様、お召し物を脱ぎませんと」

「ええ、そうだったわね」

「お風呂上りは、蜂蜜薔薇水の化粧ジェリーをお肌に塗り込んでくださいね」

「ええ、もちろんよ」

あとは、メアリーさんに任せておこう。

アリアンヌお嬢様がお風呂に入っている間、ドレスを用意しておく。今日は薔薇模様の華やかなものを着るようだ。

髪飾りは、ロジーさんが摘んできた蔓薔薇。小さくて可愛らしい薄紅の薔薇を、アリアンヌお嬢様の髪に飾る。
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