“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
台所に行ったら、お菓子の甘い匂いで満たされていた。イリスとドリスもお菓子作りを手伝っているようだ。ふたりが考えた薔薇のラングドシャも、お茶会の一品として並ぶ。

お茶会の会場は二階にある、離れの景色が一望できる客間。すでに、円卓と椅子は窓際に用意されていた。内緒話もしたいからと、小さな円卓が用意されている。

円卓には真っ白いテーブルクロスがかけられ、薄紅の薔薇が花瓶に生けてあった。

あとは、お茶とお菓子が運ばれたら、完璧である。

窓を覗き込んだら、庭先をきびきびと歩くミシェル様の姿を発見した。周辺に危険がないか、念入りに調べているようだ。野ウサギ一匹ですら入れないように、厳重体制を敷いている。

準備は滞りなく進んでいるようなので、私はアリアンヌお嬢様の私室に戻った。
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