“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
そんな話をしているうちに、街に到着した。

社交シーズンのため、街は着飾った淑女の姿に、買い物した箱を積み上げて歩く使用人の姿など、大変賑やかだ。
付添人(シャペロン)を連れ、デートする男女の姿がある。

男女の姿といえば、公爵家で見かけたはしたない二人組はなんだったのか。

そんなことを考えながら歩いていたからか、店から出てきた若い男性にぶつかってしまった。

「どわっ!」

まったく色気のない悲鳴をあげたあと、迷惑そうに睨まれてしまう。

「気をつけろ」

「す、すみません」

「どうしたの?」

けだるげで色っぽい女性の声が聞こえる。燃えるような赤い髪に、琥珀色の瞳を持つ四十代くらいの熟女。

「あら、あなた──」

熟女の目がスッと目を細められた瞬間、「あ!」と声を上げそうになる。
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