“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
イリスとドリスの言っていることが本当だとしたら、アリアンヌお嬢様は知らないうちに王太子妃候補から引きずり降ろされるだろう。

「もしかして、あなた達はレティーシア様を摘発しようとして、首になりかけたのですか?」

「そうです」

「悔しい記憶です」

アリアンヌお嬢様がふたりを引き取ってくれて、本当に良かった。証拠がないのにそんなことをしたら、最悪の場合動けなくなるまで鞭で叩かれてもなんら不思議ではない。

「もう、そんなことをしたら、ダメですよ」

「なんでですか?」

「悪事を、見逃せというのですか?」

「違います。戦う方法を間違ったら、アリアンヌお嬢様の立場まで、危うくなってしまうのです」

証拠があればいい。しかし、ない場合はアリアンヌお嬢様が嘘を吐いて、レティーシア様の立場を悪くするようメイドに命じたと思われる可能性があるのだ。

「そ、そんな……」

「き、気づきませんでした……」

イリスとドリスは落ち込んでしまう。正義感も間違った方向に振りかざしたら、立場を危うくしてしまうこともあるのだ。

「もしも、何か発見した時は、証拠を集めてみてください。あ、危ないことはしたらダメですよ。行動を起こす前に、私に報告してくださいね」

「わかりました」

「了解です」
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