“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
イリス、ドリスと共に、逃げるようにこの場から去る。

やはり、私が見ていたことは、把握していたようだ。

路地裏に入って息を整えていたら、とんでもないことが明らかとなる。

「お、奥様、な、なんでこんなところに……」

「き、今日は、お茶会の日のはず……」

「え、奥様?」

「そうです」

「奥様です」

「ど、どこの、奥様なんですか?」

「ルメートル公爵家の奥様です」

「決まっています」

「ええっ……!」

あの派手な熟女は、公爵家の新しい奥様でありレティーシア様の母親である、デルフィネ・ルメートルだという。

信じられない。公爵家の奥様が、庭に男を連れ込んで一時の享楽に耽っていたなんて。

「奥様は、恐ろしい方です」

「なるべく、関わり合いにならないほうがいいです」

「ええ、そうですね……」

もう、ガッツリ関わってしまったけれど。運が悪かったとしか言いようがない。

悪夢を見てしまったと思うことにして、一刻も早く忘れたほうがいいだろう。

そのほうが、絶対にいい。
< 53 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop