“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
帰宅後、アリアンヌお嬢様に成果を報告する。

アリアンヌお嬢様は書斎で、家庭教師から出された外国語の勉強をしていたようだ。

すでに三ヵ国語は喋れるよう。未来の王妃としての教養を、身に付けつつある。

ひと息ついたところで、報告をした。

「美容クリームの販売元は下町にある錬金術師の店で売っているようで、その、申し訳ないのですが、我々だけで行くのは危険と判断し、一度持ち帰ることにしました」

「それが賢明ね。下町では物騒な事件が起きているって、噂があるもの。無茶しなくて、よかったわ。無事に帰って来てくれて、ありがとう」

ただの使用人に、温かい心遣いをしてくれるなんて。瞼がカッと熱くなり、目が潤んでしまった。

そんなお言葉をいただいたあとに、木苺のタルトについて報告しなければならないのは非常につらい。だが、言うしかない。

「あと、木苺のタルトについてですが、完売していたようで」

「そう。やっぱり、人気なのね」

アリアンヌお嬢様は実にあっさりとした言葉を返す。ガッカリしている様子はないので、ホッとした。
< 62 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop