“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
◇◇◇

お昼過ぎに、メアリーさんに石鹸作りの報告をしたあと、ミシェル様に呼び出される。錬金術師の美容クリームについて、詳しい話を聞きたいらしい。

ミルクたっぷりの紅茶と軽いお菓子をティーワゴンに乗せて、ミシェル様の部屋に向かった。

「ミシェル様、エリーです」

返事が聞こえたので、中に入らせてもらった。

「紅茶をお持ちしました」

「ありがとう」

ミシェル様の私室は広い壁面がすべて本棚になっている、なんとも知的感溢れる部屋だ。そういえば、ラングロワ侯爵家の奥様も、ミシェル様は小さな頃から本の虫だったとおっしゃっていた。文官にならずに武官になったのは、どういう心境の変化があったのか。

そんなことはさておいて。紅茶と菓子をテーブルに置いたあと、本題へ移らせてもらう。

「美容クリームについてですが、どうやら国内の正規ルートで販売している物ではないようで、おそらく、下町にいる錬金術師が作っているのかもしれないと」

一応、噂話レベルであることを伝えておく。

「なるほどな、無印の錬金術師か。敵には回したくない相手だ」

「ですね」

その昔、王族の間で暗殺がはびこっていた時代、毒を作るのは錬金術師の仕事だった。今は禁じられているが、無印の錬金術師がそれを守っているとは思えない。
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